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イベントレポート

女性リーダーに学ぶ!ブレない"自分軸"のつくり方 [WOMAN EXPO TOKYO 2019 Winter]

女性リーダーに学ぶ!ブレない

東京ミッドタウンで開催された「WOMAN EXPO TOKYO 2019 winter」。トークセッション「女性リーダーに学ぶ!ブレない“自分軸”のつくり方〜ワタシらしいキャリアを築くヒント〜」では、企業の最前線で活躍する3名のパネリストが登壇。それぞれのキャリアストーリーや、リーダーとして日頃から大切にしていることなどのトークを繰り広げた。

 パネリスト紹介 

平田 千佳

武田薬品工業株式会社
グローバル エシックス&コンプライアンス
日本/JPBU エシックス&コンプライアンス ヘッド

平田 千佳さん

日本および米国において、外資系法律事務所や外資系金融機関に勤務し、法務およびガバナンス分野の要職を歴任。前職の大手外資系保険会社では、執行役常務として経営に参画しつつ、法務部門が経営陣のパートナーとして活躍する変革を進めた。その後、2018年6月に武田薬品工業へ入社。日本ビジネス拠点、ジャパンファーマ ビジネスユニットのエシックス&コンプライアンス部門を統括し、企業倫理およびコンプライアンスを統括する。ニューヨーク州弁護士資格保有。

三井 麻子

アバナード株式会社
人事部採用チーム グループマネジャー

三井 麻子さん

小中高とアメリカで過ごし帰国後、国際基督教大学に入学。広告会社のセールス時代にヘッドハンティングを受け、外資系電子機器メーカーに転職し採用を担当。以来、外資系の消費財、IT、高級ブランド、医療と、いずれも業界大手企業の採用に約20年携わる。アバナードには2017年入社。プライベートでは、シングルマザーとして生後6か月から職場復帰し、一人娘を育てるなど公私ともにパワフルに活躍している。

坂内 明子

株式会社セールスフォース・ドットコム
カスタマーサクセス統括本部 サクセスプログラム部 部長

坂内 明子さん

大学卒業後、米シアトルの新聞社にてインターンシップを経験し、帰国。その後、2004年セールスフォース・ドットコム入社、インサイドセールス(内勤営業)、カスタマーサクセス(CRM活用支援)、プリセールスエンジニアを経験。現在はお客様向けのマーケティング、活用促進プログラム戦略全般の責任者。プライベートでは5歳の男の子の母。

 モデレーター 

浦 亜弓

クインテグラル パートナーファシリテーター 人事コンサルタント

浦 亜弓さん

広島安田女子大学卒業。英会話イーオンに入社し講師の採用教育を担当。その後、英国系大手リクルーティングファームで外資系金融機関へ採用サービスを提供。また、米国系総合化学メーカーダウ・ケミカルでは、アジアパシフィック地域における人材開発の実行リーダーを務め、13カ国で各種トレーニングやセミナーを実施。2006年に独立し、人事コンサルタントやAMA研修等の講師業に従事。子供帯同で海外出張もこなす。

トークセッション

周りにいる人すべてがロールモデルになる
そこから何を学ぶかは自分次第

 自己紹介と現在の仕事内容、やりがい等をお聞かせください。

平田 私は武田薬品工業に入社して約1年6カ月です。その前はアメリカと日本を行き来しながら、外資系の法律事務所や金融機関で法務部門を担当しておりました。金融業界から製薬業界へ、リーガルからコンプライアンスへ、そして長らく働いていた外資系から日本企業へという3つのチェンジを経て、今働いています。現在は男性が大多数の30人程度のチームを率いております。新卒からずっと武田薬品という社員も多いので、そういう方たちをどうやってリードして、会社全体をグローバルの武田として位置づけていくか。それが私にとってのチャレンジだと思っています。

三井 アバナードで採用の仕事をしています。採用の仕事はもう20年近くになります。色々と興味が沸いてしまうので何度か転職しましたが、2017年から今の会社に落ち着いています。生後6カ月から働くママをやってますが、やっと娘も23歳、無事社会人になりました。今は娘と一緒にお酒を飲むことが最大の楽しみで、一番の趣味は仕事だと思っています。

坂内 セールスフォース・ドットコムはエンタープライズ向け顧客関係管理(CRM)をサブスクリプションモデルで提供しています。お客様に契約をしていただいてから本当のお付き合いが始まるので、サービスを活用し、お客様に成功していただくことが我々のビジネスモデルにおいて非常に重要となります。私が所属するカスタマーサクセス部では、お客様の活用の促進や契約更新をしてもらうための施作、お客様向けのマーケティング等を担当しています。プライベートでは5歳の息子がおります。旅行も大好きですが、実は、子供が寝たあとに1人で3、4時間ゲームに没頭してしまうほどのインドア派です。

 本日は3つのテーマに沿ってお話を進めていきたいと思います。まずはこれまでのキャリアを振り返って、20代の頃に思い描いていた通りに進んでいますか。ターニングポイントになったことなども教えてください。

平田 20代の頃はお金をためてMBAを取りに行こうと思っていましたが、当時の上司に「ロースクールなら援助する」と言われて、だったらそっちに行ってみようかしらと軽い気持ちでロースクールに行きました。元々日本の大学の法学部を卒業していますけど、思考としてはMBAを取ってNGOや国連とか国際協力系に行きたいなとずっと思っていて。それを諦めたわけではなかったけれど、日々の仕事が面白すぎて今に至る、という感じです。

三井 20代の頃は「目指せ、独身女性社長!」と言っていましたが、就活中にいわゆる“授かり婚”をして、入社式と出産予定日が同じだったので一旦就職は止めました。6カ月くらい専業主婦をしていましたが、やっぱり働きたいと考えていた時に某生命保険会社のコマーシャルをやっていて、時間が自由に使えて、頑張ったぶんだけ収入になる仕事だと知り「今の私にできるのはコレだ!」と思ってそこに入りました。その後、インターネットの求人広告の会社を経て、採用のキャリアがスタートします。今振り返ると、当時は目の前の生活に精一杯で正直キャリアについてはあまり考えていませんでした。

 採用の仕事の面白さはどんなところですか。

三井 採用は面接に来る候補者の人生を変える仕事だと思っています。採用するにしても断るにしてもその人の人生を変えているし、さらにはその人の配偶者や家族、友達にもインパクトを与える。それだけのパワーを持っているところですね。色々な経験を経て結果的にたどり着いた仕事ですが、今はすごく満足しています。

坂内 私はテクノロジーが大好きで、1人でアプリケーションなどを開発したり、お客様とのプロジェクトを進めるほうが好きだったので、自分が部門を持ってマネジメントをする姿は全く想像していませんでした。ただ、ひとつひとつ目前の仕事を期待値以上にこなしていくことは、すごく意識していました。そうすると他の部門の方から「これやってみない?」と声を掛けていただける機会も増え、色々な転機が訪れました。皆さんには新たなチャンスが訪れたとき、ぜひチャレンジしてほしいと思います。もし失敗したとしても、できると思って指名した上司の責任であって、皆さんに責任があるわけではないので(笑)。

 3人に共通するのは、チャンスが来たときにはやってみる、そしてヒントに気づいて行動に結びつけることかもしれないですね。皆さんにはロールモデルはいますか。

坂内 元上司の男性マネージャーがどういう振る舞いをしていたのかをすごく意識して、今マネジメントをしています。女性はライフステージによって仕事ができないタイミングが男性より多いかと思いますが、彼はそういう時に支えてくれ、私自身の今後のキャリアを信じてくれました。色々と置かれている環境の異なる部下を支えなければならないということを上司に学んだので、その方のやり方をベースに物事を考えたりしています。お手本にするべき人が身近にいてくれたことはとてもラッキーだったと感じます。

三井 ちょっとかっこ良く言うと、自分が自分のロールモデルでありたいなって。キャリア、家庭環境、考え方、感じ方はそれぞれ違うので、ロールモデルを作ることでその人と一緒にならなきゃ、みたいに自分にプレッシャーを与えてしまうこともあると思う。強いて言うならば、自分のチームや娘も含めて、周りにいる人全員がロールモデルだと思っています。色々な生き方や考え方があって、そこから自分に当てはまるところをひとつずつもらっていけばいいのかな。学歴や職種が全く違う人たちと話すことも大切だと思うので、必ずしも会社の中で探す必要はないと思います。

平田 私は自分から積極的にロールモデルを何人か探すようにしています。三井さんもおっしゃったように、1人だけだとこの人と100%同じにならなきゃいけないと思いがちなので、色々なモデルを用意するのは、自分の中にバラエティを持たせるという意味でもいいことなんです。人と一緒になっても意味がないので、便利なところだけ、都合のいいところだけ人から盗ませてもらうのがいいかなと思います。女性だけではなくて、男性のロールモデルもメンターのような存在として意図的に探すようにしています。いざという時に支えてくれる男性のロールモデルを探さないと、会社の中では難しくなってくる時期が必ず来ます。

ペイ・フォワードの精神で
後輩たちに還元していきたい

 次に、リーダーとしての仕事術についてです。皆さんは元々リーダー職を目指していましたか。

三井 リーダーはやりたいと思っていました。理由は一番学ぶことが多いし、部下からのプレッシャーがあると成長できるからです。自分が先頭に立つことによって目標を達成できるし、自分で道を切り拓いていきたいタイプなので、小さいことでも大きいことでもリーダーとして仕事をしたいという思いはありました。今はチームにすごく恵まれていて、彼らによって育てられていると感じるので充足はしています。今流行りの“ワンチーム”で仕事をしているので、私はリーダーというより隊長って感じです(笑)。

平田 リーダーになりたいと思っていないけれども、小学校の頃から学級委員や生徒会長などをやらされて、結構斜に構えて文句言いながらやってきたタイプです(笑)。実は、ずっと付いてきたい人だけ付いてくればいいと冷たい感じでやっていたのですが、前々職を辞めるときに自分のチーム以外の女性社員たちが寄って来て「これから先は誰をロールモデルにしたらいいんですか」と言われたとき、私は見られる立場になったんだ、と結構ショックでした。どちらかというと、この人のようになりたいと誰かを追いかけてきたほうだったので。そこから見られていると意識するようになりました。

 意識してから何か変わりましたか。

平田 以前「ペイ・フォワード」という映画がありましたが、自分がもらってきたものを若い人たちにどうやって渡していくか、というのをすごく意識するようになりましたね。今まではもらう一方だったので、今後は還元していきたいなと。

坂内 私自身あまり人前に出て発信できるタイプではないので、リーダーには向いていないと思っていました。でも平田さんと同じく、社内でも私より若い世代やこれからキャリアアップしたいという方に見られる対象になってきたという意識が強くなってきました。今、入社される若い方は目の前にあるもので判断してしまう。例えば、この部門には女性がいないから思い描いている様な働き方は難しいだろう、子供がいたら仕事がしづらいだろう、など。そういう人たちに対して、「自分が思うキャリアは築けるんだよ」ということを、私が見せていかなければならないフェーズになってきたのだと感じています。やはり見られている意識から、次の世代に還元したいという気持ちが大きいです。

 女性リーダーとしてメディアに取り上げられることについては、どのように考えていますか。

平田 今はそういうフェーズだと思うので、きちんとレスポンスしなければならないと思っています。私の世代のリーダーは色々と犠牲にしていることもありますが、それではいけないし、次の世代には普通に仕事ができる環境を整えなければならない。そのためには、自分にリーダーはできないと思っている人にも、ぜひ一歩進んでほしい。リーダーの数が増えればスーパーウーマンじゃなくても普通に管理職を務めていけるようになりますから。

三井 私は女性、女性って言っていることに違和感があります。逆に男性にとってセクハラなんじゃないかって。女性だから、男性だからというダイバーシティの概念を植え付けているから、より女性が働きにくい環境になっている気がします。本来は個々の特徴と生き方ややりたいことを尊重して、会社はイニシアチブを取るべきだと思う。アバナードはダイバーシティは女性だけではないというところにすごく力を入れていて、会社が大好きな理由のひとつでもあります。

坂内 女性リーダーとして取り上げられるのは、仕方がないのかなと思っています。例えば、私が出張や飲み会に行くと「お子さんは大丈夫なの」ってすごく聞かれるんですけど、男性には尋ねない質問ですよね。女性活躍が推進されている中でも、いわゆる無意識な偏見や考え方があるので、こういう場できちんと発信しなければいけないなと感じています。

ワーク・ライフ・マネジメントに大切なのは
自分がハッピーに仕事ができるか

 3つめのテーマはワーク・ライフ・マネジメントです。それぞれの企業で活躍されていますが、理想のワーク・ライフ・マネジメントができていますか。

平田 ワーク・ライフ・マネジメントって良い言葉ですよね。私は今年年間100回くらい海外出張があり時差で時間がぐちゃぐちゃになっちゃって、ワーク・ライフ・バランスはまったく取れていないです。でもマネジメントは自分がハッピーに仕事ができているかどうかだと思うので、今が理想の形ではないかもしれませんが、ハッピーではあります。気をつけているのは、自分の一日の心の状態やコンディションをチェックする時間を必ず設けること。朝起きて水を飲んで体調をチェックするとか、その日がハッピーに過ごせるかどうかは確認したほうがいいと思います。

三井 娘が生後6カ月の頃から働いているので、残業をしないでどれだけ成果を出せるかが働き出したときからの課題です。集中して仕事をして定時で帰って成果を出す、という働き方をずっとやってしてきたので、娘が社会人になって残業ができるようになっても逆に残らない。後輩を見ていると、残業をして成果を上げるのが当たり前になっていて、だからこそ子供を産んだら仕事どうしようっていうメンタリティになるのだと思う。ワーク・ライフ・マネジメントやバランスは、会社が与えてくれるものではなく自分が作るものですよね。他人からどう思われるかではなく、開き直りも大事だと思います。

坂内 私は「切り替え」が一番大切だと思っています。自分のミスや部下のミス、お客様からの叱責を受けたとしても、余計な感情にコントロールされずに、すぐに切り替えて次は何をするべきかにフォーカスするようにしています。あとは仕事でもプライベートでもやらないことを決めるのは、とても重要です。私の場合は子育ては自分と主人でやりたいけど、家の掃除は誰がやってもいいと思うのでアウトソースしています。お金で解決できるならアウトソースしたほうがリラックスできる。そうすると精神的にも安定して仕事にもいい影響が出る思っています。

 最後に、皆さんの今後の目標や夢、実現させたいことを教えてください。

三井 今の会社が7社目ですが、毎回「場所は渋谷から有楽町までで、その業界の最大手かつキレイなビルで働く」というブレないこだわりを持って転職活動をしてきました。シングルマザーだけど両親がそろっている家庭より娘を裕福に育てることを目標にして、それが働く糧になってきたんです。娘が社会人になってそれがもう終わったので、4、5年前から脱サラをしたいなと思っていて、たどり着いた結論が「スナックアサコ」を開くことです(笑)。ずっと採用の仕事をしてきて色々な経験もしたし、こういうキャラなので、人生に悩んでいる人や転職に悩んでいる人がふらっと立ち寄れる場所にしたいですね。会社でリーダーになるのももちろん大事だけど、仕事以外の目標を持って、いつでも違うことにチャレンジできるという気持ちでいるのも大切だと思います。

坂内 私は自社のテクノロジーや製品が大好きなんです。キャリアアップして周りから求められるものをやり遂げたい気持ちもありますが、今自分が扱っているテクノロジーが女性のキャリアを上げるために間違いなく有効なものなので、Salesforceという名前を覚えていただいて、このサービスがどんどん広がってほしいと思います。Salesforceを中心としたエコシステムにて雇用はすごく増えていて、就職氷河期に思うような職業に就けなかった方がSalesforceを学ぶことによってキャリアを伸ばした例もたくさんあります。自社のテクノロジーでキャリア形成を目指すだけでなく、今日のようなイベントにも積極的に参加して、等身大の働き方を伝えることによって社会に貢献したいという素夢を実は持っているので(笑)、これからも積極的に発信していきたいです。

平田 弊社はグローバル化が進んでいますので、やはり人材教育に力を入れていきたいです。今の武田薬品工業はあくまでグローバルの武田ですから、日本人でなければいけないとは思いませんが、グローバルに出て行けるような人材を日本から出していきたい。そのためにはもっともっと成長しなければならないし、色々な視野を広げていかなければいけない。機会は平等に与えて、食いついて来る人は引っ張り上げていきたいと思います。武田薬品工業は元々大阪の道修町という小さな町からスタートしていて、実は私の実家はそこから10分くらいのところにあります。そういうところから始めた商売が今ではアメリカやヨーロッパにハブを持つまでになった、その精神に惚れて入社したという経緯もあるので、今後の目標は人材教育かなと思っています。