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女性リーダーに学ぶ!私らしく輝くための“自分戦略”

女性リーダーに学ぶ!私らしく輝くための“自分戦略”

 東京ミッドタウンで5月19日から2日間にわたって開催された「WOMAN EXPO TOKYO 2018」。トークセッション「女性リーダーに学ぶ!私らしく輝くための“自分戦略”」では、大手企業でリーダーとして活躍する4名のパネリストが、リーダーとして、一人の女性としての“自分戦略”についてトークを繰り広げた。

 パネリスト紹介 

榊原 由紀子

武田薬品工業
日本オンコロジー事業部 メディカルアフェアーズ部
メディカルサイエンス ヘッド

榊原 由紀子

大学(薬学部)を卒業後、外資系製薬企業に入社。
MRとオンコロジー(がん)領域のマーケティングに従事する。
2004年に結婚、翌年に出産。09年に武田薬品に入社。
当時、武田薬品が新たに参入したオンコロジー領域のマーケティング職、メディカ ルサイエンスリエゾンのチームリーダー職等を経験。
現在はグローバルオンコロジービジネスユニット 日本オンコロジー事業部 メディカルアフェアーズ部 メディカルサイエンスのヘッドを務める。16年に大学院に入学し博士号取得を目指す

船木 路子

日本電産
人事企画部 兼 人事部 女性活躍推進室
課長代理

船木 路子

大学卒業後、自動車部品メーカーに入社。経営企画部で中国拠点の設立、北米地域のジョイントベンチャーの立ち上げなどに携わる。夫の転勤を機に京都に移り専業主婦になるが、働く楽しさを再認識して30歳で日本電産に入社。知的財産部を経て人事部へ。現在は、人事企画部にて中途採用のリーダー業務に加え、2017年4月から女性活躍推進室も兼務し、女性採用のPRに注力中。休みの日は、家族との時間を大切にし、思いっきりリフレッシュしている

谷内 陽子

日産自動車
日本戦略企画本部
人日本商品企画部 主管

谷内 陽子

1990年日産自動車入社。日・米・欧など世界中に向けた車種の商品企画として、欧州向けSUVのQashqaiや、2016年に発売した日本向けノート e-POWERなど、様々な車種の企画を担当。また、車種横断戦略として、プロパイロットなどの新技術の企画等も経験。途中、3年間欧州日産に赴任し、フランスで出産。
一児の母で、ベストワークライフバランスを模索中。座右の銘は案ずるより生むが易し

原 みどり

東芝
広報・IR部
メディア広報担当 参事

原 みどり

1998年(株)東芝入社。7年半、対海外メディアの広報業務に従事。その後、対国内メディアの広報業務を経験。2010年から約4年多様性推進部に在籍し、東芝グループのダイバーシティ推進業務に従事。2014年に広報業務に戻り、現在は、国内・海外両方のメディア対応に従事。2015年以降の経営危機のリスク対応中心の広報から、今後は、変革する東芝をPRする広報へと軸足を移していきたい。プライベートでは3人の母

 モデレーター 

金澤 悦子

株式会社はぴきゃり

金澤 悦子

人材関連会社2社を経て、2005年に独立し株式会社はぴきゃりを設立。働く女性のためのキャリアの学校「はぴきゃりアカデミー」を運営。統計心理学を使ったオリジナルメソッドにより「ココロとサイフが満たされる仕事発見」を支援。著書に「ハッピーキャリアのつくりかた」(ダイヤモンド社)など。40歳で第1子を出産。

トークセッション

理想とは違う仕事やポジションでも
まずはチャレンジしてみる

金澤 現在の仕事内容とやりがいをお聞かせください。

榊原 現在は日本オンコロジー事業部のメディカルサイエンスグループで責任者をしています。抗がん剤を扱う事業部で、主にドクターなどの医療関係者と薬や病気に関するディスカッションをしながら、患者さんのアンメットニーズを解決するための意見などを収集し、会社の開発あるいは薬剤の適正使用につなげる部署です。抗がん剤は患者さんにとって非常に緊急性の高い薬剤なので、いかに迅速にさまざまな問題や課題を解決できるのかが大きなミッションとなります。チームのメンバーが同じ方向を向いてミッション達成に突き進むことに、非常にやりがいを感じています。

船木 日本電産は超微細なスマホ用などのモーターから、産業用・発電機用のモーターまで、さまざまなモーター製品をグローバルに展開しています。私は女性活躍推進室で社内外の女性の登用や育成、両立支援と、人事企画部で採用を担当しており、中途採用のチームリーダーとして採用戦略の企画・立案、求人の受付から選考、認定に至るまでのプロセスをハンドリングしています。私が採用に関わった人たちが入社後に活躍している姿を見るのが原動力になりますし、一人ひとりの人生の転換期に立ち合えることにやりがいを感じると共に、採用担当としての責任の重さも日々感じています。

谷内 私は日産自動車の日本商品企画部に勤務しています。大学卒業以来、日産自動車に勤めていまして、部署も変わることなく商品企画一筋です。商品企画と言っても幅広い業務がありますが、今は日本向けの商品企画を担当しています。例えば、車種で言うとNOTE e-POWERやLEAFなど。直近では「ニッサン インテリジェント モビリティ」というスローガンを掲げて、電動化や電気自動車、イーパワーの導入や自動運転化技術の安全性を高めるといったブランド戦略のような仕事も担当しています。スポーツ全般が趣味でウインドサーフィンや登山もやるのですが、そんな中で環境の大切さはすごく感じているので、もっと安全に、もっと環境にいいものを求める「ニッサン インテリジェント モビリティ」の実現に向けた取り組みに携われることがやりがいになっています。

 1998年に東芝に入社して、気付けば20年目になりました。これまでに海外広報、国内広報のほか、人事の組織である多様性推進部で、働き方改革や、女性の活躍推進などの業務に携わってきました。2014年に現在の広報・IR部に戻り、国内外のメディア対応を担当しています。この3年は弊社は経営危機にありましたので、リスク対応を中心にやってきました。これからは会社が変革をして新しい東芝に生まれ変わっていく時期です。ポジティブな情報の発信を通して変革する東芝をPRし、毀損した会社のブランドイメージの回復に貢献したいと思っています。部署のメンバーが同じ目標に向かってブレることなく頑張ることが、仕事のやりがいだと感じています。

金澤 今回は3つのテーマに沿ってお話を聞いていきたいと思います。ひとつめは「どんな自分戦略でキャリア作りをしてきたのか」。皆さんは今、20代の頃に思い描いていたキャリアを築けていると思われますか?

榊原 ぼんやりとしたキャリアは描いていたと思いますが、自分の立場や職種、担当する仕事などが変わるにつれて、見える世界が全然違ってきました。年齢を重ねるうちに新しい世界が見えるようになって、キャリアプランはどんどん変わってきたと思います。まだまだこれからも違う世界を見てみたいです。

谷内 私はまず20代の頃に戦略はなかったです(笑)。男女雇用機会均等法が施工されてそれほど時間が経っていない頃だったので、総合職に就けてラッキー!みたいな感じでした。車が好きで日産に入社して、車に関わる仕事がしたいという気持ちで日々仕事に取り組んでいたら、何十年も経っていたという。女性が仕事をしやすい環境はどんどん整っていきましたが、20代の頃はとにかく仕事がしたい一心で一生懸命過ごしていました。

 私も特に戦略はなく、母が専業主婦だったので、自分も子どもが生まれたらその道を選ぶだろうと思っていました。ターニングポイントは入社して10年が経った頃、ダイバーシティを推進する部門に異動したことです。それまでは目の前のことを頑張っていればいいと思っていましたが、会社からは入社10年なりの成果と実績と責任が求められるし、自分にはその視点が欠けていたのだと気付いて。今もその能力が身に付いているとは決して言えませんが、先輩方を見ながら少しずつ努力をしているところです。

金澤 3人の共通点は、目の前の仕事をまずは「イエス」と言ってチャレンジしてみることと、客観的視点でものごとを見ているところですね。やりたくないなと思う仕事や、理想とは違うポジションになった時はどうやって乗り越えましたか?

榊原 きれいごとに聞こえるかもしれませんが、その仕事をするもしないも自分が決めることだと切り替えています。『プラダを着た悪魔』という映画が好きで、その中で「それはあなたが決めたことよ」というセリフがあるんです。それを思い出して、壁にぶつかったときは発想を少し変えて考えるようにしています。

谷内 原点に帰るというか、車が好きで日産に入社したことを思い出すようにしています。あとは嫌なことがあったらコンビニでお菓子を買って帰るとか、大変な仕事をやり遂げたあとは旅に出てリセットするとか、ネガティブをポジティブで消すことを繰り返しています。10のうち仕事が8で遊びが2だと辛いので、仕事が8なら遊びも8!という考え方です。

 どうしてこんな仕事をやらなければいけないの?と思ったことは多々ありますが、振り返ってみると、どの仕事も無駄なことはひとつもなかったです。どんなに単純な仕事でも自分が磨かれますし、イヤだなと一瞬思っても、全ての仕事が役に立つと前向きに捉えています。毎回というわけにはいかないですが、頑張ってそう考えるようにしています。

金澤 船木さんは唯一「20代の頃に思い描いていたキャリアを築けている」ということですが、その理由は何ですか。

船木 自分がどうやって生きていきたいのかという夢や大きな軸は、20代の頃から変わっていません。自立した人間として、ボーダレスな環境の中でグローバルな仕事がしたいと思い描いていました。結婚をして専業主婦になったときに、その夢は一旦頓挫しましたが、再度仕事を始めたことで20代の頃の思いがより具体的になったので、今は目標に向かって日々努力しているところです。ひとつ意外だったのは、人事を担当しているということ。20代の頃は思ってもみませんでした。

これまでの固定観念に捉われず
自分らしいリーダー像を目指す

金澤 2つ目のテーマは「女性リーダーとしての仕事術」についてお聞きします。皆さんはリーダー職、管理職を目指していましたか。

船木 社会人になった頃は考えられなかったですね。ただ、何か問題にぶつかったときに「部長や課長、経営層だったらどう思うんだろう」と考えながら仕事をするようにしていました。もちろん自分の仕事は日々一生懸命やるのですが、そんな中でもちょっと一歩引いて客観的に考えることは、リーダーになってから役立っています。

谷内 自分がリーダータイプだとは今でも思っていないので、目指したことはなかったです。年齢やキャリアも含めて、気がついたらそういう存在になっていくしかなかったというか。打診されたときは不安だったしすごく悩みました。私の場合はキレイなマネジメントというよりは、情熱で引っ張っていくタイプなので、ふと気がつくと誰もついてきていないことがたまにあって。そこは反省していますし、マネジメントについては今も模索中です。

 私もリーダーになることは全く想定していませんでした。3人兄弟の末っ子というのもあり、自分が上に立って何かを決めるのはとても苦手なんです。「リーダーとして自分がしっかりしないと」と思いますが、自分がやりすぎてしまうと部下が育ちません。また、自分にできないことがあっても、それを補う形でメンバーがめきめき伸びていったりもするので、そこの塩梅がすごく難しくて、日々模索しているところです。

金澤 リーダー像も変わってきているのかもしれませんね。固定観念ではなく、自分たちらしいリーダーになっていけばいいのかなというヒントがたくさんありました。榊原さんはリーダーになろうと思ったきっかけなどはありますか?

榊原 自分のやりたいことを実現したいならリーダーになりなさい、という先輩方からのアドバイスもあってリーダーを目指しました。実際になってみると、思い描いていたリーダー像とはまったく違いましたが、やり甲斐を感じます。自分がやりたいようにチームを引っ張るのがリーダーなのではなく、ある意味フォロワーに近いというか、どれだけゴールに向かってチームをフォローして、影響を与えられるかなのかなと最近思っています。

金澤 若いうちに経験しておいて良かった、または経験しておけば良かったことがあれば教えてください。

榊原 やはり語学をもっと早くやっておけば良かったと思います。武田薬品の社員の8割は外国籍の社員で、会議はすべて英語です。英語で言いたい事の全てを言えないときがあり、フラストレーションが溜まることもあるので。

船木 若い頃は何でもやるというスタンスで、仕事を選り好みせずに積極的にやってきました。失敗を恐れずに、少しでも興味のあることには思い切ってチャレンジして欲しいです。必ず誰かが見てくれていますし、会社に貢献しながら自分のスキルも延ばすことができますよ。

谷内 これがやりたいと思ったら、何でもチャレンジしてみることです。案ずるより産むが易しで、ダメだったらまた次があると考えればいいと思います。海外で活躍したい方は、意見を聞かれたときにすぐに答えられるように、ディスカッションの訓練をしておくことをおすすめします。私は海外勤務の際に相当苦労しました。

 自分の引き出しを増やすために、今の仕事と関係ないことでもいいので色々な勉強をしておいたほうがいいと思います。私は英文会計を学んでいたのですが、米国会計基準の米国公認会計士の資格は取りませんでした。広報には財務、法律、M&Aなど幅広い知識が必要なので、あのとき頑張って資格を取っておけば良かったと後悔しています。

働き方改革によって
よりタイムマネジメントがしやすい環境へ

金澤 3つめのテーマは「仕事とプライベートのマネジメント」について。皆さんはリーダー職になってからのほうが、時間管理がしやすくなりましたか?

船木 リーダーになろうがなるまいが、時間管理はできるというのが私の意見です。弊社では働き方改革を進めており、在宅勤務や時差勤務、時間単位の有給休暇など色々な制度が整ってきています。これらの制度を、私に加えてチームメンバーが活用することで、時間管理は以前よりしやすくなったと思います。ただ、リーダーかどうかに関わらず、自身の働き方を選択する時代になっていると思います。

谷内 正直に言うと、管理職になってからのほうが自由な時間は減りました。ですが、今年度初めの部署での挨拶で「一人ライフワークバランス改善活動を実施します」と宣言しました。“ワークライフ”ではなく“ライフワーク”だからね!と。管理職が率先してやることで、チームのメンバーがプライベートの時間を作りやすい環境を整えていけたらという思いもあります。

 中間管理職は時間の管理が難しいというのは正直あります。特に経営危機の対応をしていた3年間は時間のコントロールが全くできず、3人の子どもたちに対して不必要に怒ってしまうこともありました。でも振り返ってみると、子どもたちは元気で健康に育ってくれているので、結果オーライかなと。

榊原 私が時間を管理できるようになったというよりは、ここ数年で会社がグローバル企業に変わったことが大きいです。在宅勤務やフレックス制度などをかなり活用できているので、例えば子どもの学校行事などにも無理なく参加できます。始めは強制的であっても、やはり働き方改革は必要だと感じています。

金澤 では最後に、皆さんの今後の目標と夢をお願いします。

榊原 会社がグローバル化してどんどん変わっている中で、自分ももっと変わりたい。そこで実際に何をしたらいいのかを具体化しなければならないと思っています。変わり続けること、チャレンジし続けることが目標です。

船木 まずは男女問わず働きがいのある職場環境作りの推進・浸透を加速していき、その中でも女性の登用やキャリア育成・支援に注力していきたいです。中長期的な夢としては、日本電産グループの人材の見える化・適材適所で強みを発揮できる仕掛けを構築していくこと。グローバルな人材交流をもっと盛んに行い、人材が活躍できる場を増やして、生き生きとやりがいを持って夢を描けるような仲間を増やすことが今後の目標であり、実現したい夢です。これからも仕事とプライべートともに夢を持ち、チャレンジを続けていきたいです。

谷内 「ライフワークバランス」を自分のテーマにしたいと思っています。「ライフ」が先に来るのがポイントです。仕事の質は落とさずに、家族との充実した時間を大切にすることを意識していきたいです。また日々どんどん学んでいくことが重要だと感じているので、仕事に直結することに限らず、幅広く学んでいきたいと思います。

 これからは変革する東芝をPRして、毀損した会社のブランドイメージを回復させることが一番の目標です。個人的には、決断力のあるリーダーを目指してさまざまな知識を身につけたいと思っています。今までは注いだ情熱を評価してもらっていたところもありますが、今後は年齢と経験に見合った中身で評価してもらえるよう、自分を磨いていきたいです。