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女性リーダーたちに学ぶ、ワタシらしく輝くキャリアの描き方

女性リーダーたちに学ぶ、ワタシらしく輝くキャリアの描き方

先月、東京ミッドタウンで2日間にわたって「WOMAN EXPO TOKYO2017」が開催された。トークイベント「女性リーダーたちに学ぶ、ワタシらしく輝くキャリアの描き方」では、リーダーとして活躍する3人のパネリストが、仕事のやりがいやピンチの乗り越え方、管理職になることのメリットなどを語った。その模様をリポートする。

 パネリスト紹介 

永妻 玲子氏

アマゾンジャパン
Prime Now事業部 事業部長

永妻 玲子

大学卒業後、国内の通信会社へ入社。その後、ラジオ局でのマルチメディア事業、外資系ソフトウエアベンダーでのデジタルメディア事業の立ち上げ、コンシューマー向けソフトウエアのプロダクトマーケティング、オンライン事業の事業企画などの経験を積む。2009年4月にAmazonプライム会員プログラムのプロダクトマネージャーとしてアマゾンジャパンへ入社。11年に産休を取得し、復職後にAmazonポイント事業の再編を手がけた後、15年5月から現職。
岩井 かおり

アビームコンサルティング
執行役員 プリンシパル
プロセス&テクノロジービジネスユニットITMSセクター長

岩井 かおり

上智大学外国語学部卒。食品会社に入社し、商社部門で海外営業を担当。1998年に第1子を出産。2000年にアビームコンサルティングへ転職。基幹システムのグローバル展開プロジェクトを中心に活躍。08年に第2子出産後、企業の情報システムの運用保守や運用改善を担うグローバルアウトソーシングサービスの立ち上げに参画。13年、執行役員に就任。17年よりダイバーシティ&インクルージョンイニシアチブの責任者を兼任。
広瀬 由香里氏

スリーエム ジャパン
コンシューマービジネスグループ
文具・オフィス事業部 事業部長

広瀬 由香里

早稲田大学法学部卒。ミシガン大学経営学修士(MBA)。新卒では総合商社で財務、その後は広告代理店、金融機関、消費財メーカーでコンシューマーマーケティングを手がけ、2012年にスリーエム ジャパン(当時住友スリーエム)に入社。3Mではコンシューマービジネスグループの事業部の経営に従事、ホームケア事業部長を経て文具・オフィス事業部長に。14年8月から現職。

 モデレーター 

金澤悦子

株式会社はぴきゃり 代表取締役

金澤 悦子


人材関連会社2社を経て、2005年に独立し株式会社はぴきゃりを設立。働く女性のためのキャリアの学校「はぴきゃりアカデミー」を運営。統計心理学を使ったオリジナルメソッドにより「ココロとサイフが満たされる仕事発見」を支援。著書に「ハッピーキャリアのつくりかた」(ダイヤモンド社)など。40歳で第1子を出産。

トークセッション

転職や留学がターニングポイントに
新しい世界でキャリアの突破口を開く

金澤 今、皆さんが担当されている仕事内容とやりがいを教えてください。

永妻 Amazon Prime会員の方を対象としたPrime Nowという新しいショッピングサービスの事業部で、事業部長の役目を担っています。Prime NowはAmazonのなかでは最も早く、1時間以内に注文した商品が届くというサービスです。事業としては1年半ほど展開していますが、従来のEコマースにはなかった新たな取り組みの立ち上げに関われていることは、大変ではありますが非常にやりがいを感じています。

岩井 当社は日本に本社を置くグローバル総合コンサルティングファームです。私はそのなかでITを使ったサービスやソリューションの開発などを行う、600人ほどが所属する組織のセクター長を務めています。さらに、コンサルティングサービスを提供するプロジェクトの責任者と、今年からはダイバーシティ&インクルージョンイニシアチブの責任者も担当しています。メーンはコンサルティングなので、目標を達成したときにお客様から「ありがとう」と言ってもらえるのが一番の醍醐味であり、やりがいだと思います。

広瀬 私はコンシューマー向けの商品を扱うグループに所属し、そのなかで文具・オフィス製品の開発から販売までを担当する事業部の事業部長をしています。3Mはグローバル企業ではありますが、開発拠点が日本にあり、開発、製造を海外ではなく国内で進めることを推奨しています。BtoBのビジネスに向けて開発された技術を、どのように活用してコンシューマー向けの製品をつくるかという点は、知恵の使いどころであり非常にやりがいを感じる部分です。

金澤 今回は3つのテーマに沿ってお話を聞いていきたいと思います。1つ目は、ご自身のキャリアのターニングポイントについてです。広瀬さんは30歳のときに海外留学をご経験されていますが、きっかけは何でしたか。

広瀬 由香里

広瀬 当時は総合商社で財務、その後広告代理店でマーケティングを担当していましたが、お客様と話すうちに、自分がファイナンスとマーケティングしかわかっていないことに気がついたのです。本気でビジネスを手がけるのなら自分のファンクションだけではなく、広くゼネラルマネジメントを知っておかなければという危機感から留学を決意しました。米ミシガン大学でMBAを取得して変わったのは、ものに対する見方です。大体のバリューチェーンが頭に入ってきたので、初めて取り組むことでも怖くなくなりました。

永妻 私は現在の会社が4社目ですが、転機となったのは3社目で外資系ソフトウエアベンダーに勤務したことです。初めての外資系企業、初めての外国人の上司でした。しかも、上司のベースは香港という環境。自分がやりたいことをはっきりと言葉にして伝えなければ物事が進まないという状況に身を置いたことが、おそらくターニングポイントだったのではないかと思います。待ちの姿勢ではなく、自分で動いて現状を変えられるという自由が目の前にあるのは、非常に新鮮な驚きでした。

岩井 私も転職が転機だったと思います。第1子を出産後に仕事復帰をする際、子どもを預けてまで働くのだから自分がやりたい仕事、そして成長できる仕事をしたいという強い思いがありました。前職の会社は女性の役割がある程度限定されるカルチャーだったので、男女関係なくチャンスが与えられる仕事に就きたいとアビームコンサルティングに転職しました。グローバルに活躍できる機会が与えられるのも魅力でした。

チームを動かし、自ら問題を解決できる
管理職になるメリットは大きい

永妻 玲子

金澤 キャリア形成の中では、ピンチがチャンスになることもあるかと思います。ピンチをどのように乗り越えていらっしゃいますか。

永妻 プロジェクトを進めていくなかで、どうしても計画どおりにいかないことも出てきます。そんなときは、チームのメンバーのモチベーションが下がらないようなるべく透明性を保ち、きちんと話せることは話すよう心がけています。なぜ変更が必要なのかをしっかりと伝え、理解してもらうことには結構時間をかけます。そうすることでメンバーも当事者意識が持てますし、上から言われたことをやるのではなく、自分も一緒にがんばろうというようにマインドセットを変えていくと、いい結果につながると思います。


岩井 最近の大きなピンチと言えば、セクター長というポジションに就くことになったときです。前任者は非常に求心力のあるパワフルな男性リーダーでした。その人の後任として組織をどうまとめればいいのかわからず試行錯誤しましたが、前任者と同じやり方は私に求められていないし、自分なりのリーダーシップでやっていけばいいんだと少しずつ思えるようになりました。どうしても女性であることにフォーカスされがちですが、女性のリーダーシップもひとつではないですから、自分らしくいられることを意識しています。

広瀬 転職などで組織のリーダーになってから、最初の3カ月は常にピンチですね。今までの自分の実績やキャリアを知らない人たちと、人間関係も含めて一から始めなければならないし、そのときの空気感は寂しいと思うときもあります。私の場合は情報収集が一番大事だと思っていて、いろいろな資料を読むのはもちろん、メンバー全員と1対1の面談を行います。そこから次は何をしたらいいのかを頭で整理しながら、なるべく3カ月でチームを軌道に乗せることを目標としています。

金澤 では、2つ目のテーマです。管理職になって良かったことはありますか。

永妻 重要な意思決定をするときに、自分がその一員になれることです。決められたことをやるのではなく、やりたい仕事を実現するうえで、自分が決めるほうの立場として関与できるのは非常に大きな差だと思います。もちろん大変なこともありますが、いいこともたくさんあります。

岩井 かおり

岩井 皆さんが仕事をするうえで悩みや不満などあると思いますが、管理職になるとその原因となっている問題を自ら解決できるのでストレスはぐっと減ると思います。モヤモヤ悩むくらいなら、自分で解決するほうが精神的に楽です。あとは管理職になると非常に多くの情報が与えられるようになるので、今まで見えなかった部分が見えるようになり、いろいろなことが納得できるようになりますね。

広瀬 管理職になるとチームを持てるようになります。今までは自分の思考や体力を自分のためだけに使ってきましたが、それを今度は自分のチームが最大のパフォーマンスを出すために使う方向へシフトチェンジするわけです。そうすると自分の力の1.5倍~2倍の力が出せるようになり、もっと仕事が楽しくなります。1人ではできないことでも、チームワークをもってすれば大きなことができると感じています。

金澤 とはいえ、管理職ともなると悩むことやプレッシャーを感じる場面も多いのではないでしょうか。皆様はそういった場合どのように解消していますか?

永妻 できるだけ、問題が起きた場合や悩みごとはその日のうちに解決するように心がけています。また、日ごろから解決手段に使えそうな情報の引き出しを増やして、いつ何が起こってもリスク回避できるように準備することを心がけています。そうすることで、安心を得られると思います。

岩井 管理職なりたての頃は、決断をすることが怖くプレッシャーに押しつぶされそうになったこともありました。ただ、判断するのに必要なインプットをできるだけ多く集め、その上で集めた情報を基に客観的に判断する。そうすることで徐々に決断する事にも慣れていったように感じます。

広瀬 仕事は確率を上げていくことに全力を注ぐことだと思っていますので、確率を上げるための情報収集を徹底的にしています。また、永妻さんの話でもありましたように、解決策の選択肢をなるべく多く持っておくことも重要です。また、問題が起きても一人で抱え込まずに、特に上席とは情報共有をしておくのは重要ですね。

金澤 部下の育成やコミュニケーションで気を付けているポイントなどありますか?

永妻 褒めるときも、叱るときもタイミングを重視しています。また、日ごろからちょっとしたことでも話しかけることで、コミュニケーションが取れると思います。そういった会話から、部下がいま頑張っていることなど垣間見れるので、状況を知るうえで大事です。

岩井 育成という面でいうと、部下には自分がやりたいこと・できる事・会社が求めていることの共通項を大きくしていこうということを話しています。また、女性社員からは私が子育て中という事もあり、結婚・出産後のキャリアについて相談を受けることがありますが、その際は私の例は一つのパターンでしかなく、いろんなパターンがあり、様々であるということを伝えています。

広瀬 男性部下が多い職場ですが、なるべく今後のキャリアプランを一緒に考え、定期的にモチベーションを上げていけるように心がけています。また、メールで良い報告が来た場合は、すぐに返信して褒めるということも意識しています。

女性リーダーたちが実践する
ワークライフバランスを保つ秘訣とは

金澤 3つ目のテーマはワークライフバランスです。この言葉はかなり浸透してきた印象ですが、どのようにバランスを取っていますか。

トークイベント「女性リーダーたちに学ぶ、ワタシらしく輝くキャリアの描き方」

永妻 今の会社では非常にいいバランスが保てていると感じています。例えば、家にいながら働けるワークフロムホームなど、様々な制度が充実していてフレキシブルに活用することが可能です。私自身もうすぐ6歳になる娘がいるワーキングマザーですが、そういった制度をフル活用させてもらいストレスなく働いています。独身の社員もフレックス制度など自由に使っていますし、私もそれを推奨しています

岩井 私がワークライフバランスを保つうえで一番ありがたいと思ったのは、コンサルティングの仕事が有期限のプロジェクト型であるということです。プロジェクトの切れ目にうまく合わせれば、キャリアを途中で断ち切ることなく、プロジェクト単位で新しいことにチャレンジできます。産休や育休を経ても、ギャップやブランクをあまり感じることなく仕事に復帰できるのは非常に大きかったです。

広瀬 私はワークとライフの境界線をあまりきちんと決めてはいません。自分がマーケティング出身ということもあり、机の前にいるだけが仕事ではなく、会社を出てからいろいろな人と会って情報収集をしたり、それを基に世の中のトレンドがどうなっているのかを考えたりするのが大好きなのです。どこまでが仕事なのかはあまり考えず、自由に捉えています。

変わらない信念を持ち続けることが
キャリアアップの実現につながる

金澤 最後に、皆さんにとっての働く意味や信念、そして今後の目標をお聞かせください。

永妻 大学を卒業したとき、社会のために役立つ仕事がしたいと思っていました。今もずっと変わらず、その信念が軸になっています。あとは、自分の子どもにとっていい意味で社会人としての手本になれるよう心がけています。今後の目標としては、ダイバーシティをもっと活性化させて女性が輝ける職場をつくること。キャリアアップに意欲的な優れた方と一緒に働けたら素晴らしいと思います。

岩井 ちょっと抽象的な表現ではありますが、私自身グローバルで活躍したいというイメージをずっと持っていました。それが実現できることが強いモチベーションになっています。子どもを預けてまで働く必要があるのかと悩んだ時期もありましたが、長女が10歳のときに「私は働いているママがかっこいいと思うからお仕事がんばって」と言ってくれて、くよくよ悩むほうが子どもたちに失礼だと吹っ切れました。ダイバーシティ&インクルージョンイニシアチブの責任者でもありますし、今後も女性がキラキラと活躍できる、働いていて楽しいと思える職場づくりに貢献していきたいです。

広瀬 私は「世の中にインパクトを与えたい」という壮大なテーマがあるので、付加価値のあるものを世の中に出して、インパクトを与え続けたいです。この使命がある限り働き続けるのだろうと思っています。自分自身もグローバルな人材になりたいと思っていますし、そういった人材を一人でも多く育てて一緒に働いていけたらいいですね。

トークイベント「女性リーダーたちに学ぶ、ワタシらしく輝くキャリアの描き方」