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第26回「働き方改革に関する意識調査」

第26回「働き方改革に関する意識調査」
自社の働き方改革の評価は平均「48.5点」!

~法案施行後も「働き方」は変わらないは7割~

政府による働き方改革関連法案が2018年6月に成立し、19年4月から順次施行されます。そこで「日経キャリアNET」では18年7月下旬から8月上旬にかけて、21~59歳までの登録会員を対象に「働き方改革」に関する意識調査を実施しました。849人から得た回答を基に自社の働き方改革への採点結果のほか、関連法案への理解度や関心度などの結果を紹介します。

※調査概要はページ下部

1. 転職志望度が上がる制度のトップは「副業・兼業の解禁」

 ~「テレワーク(在宅勤務)」「有休休暇の取得促進」が続く~

 転職活動で応募する企業を選ぶとき、「志望度が上がりそうな『働き方改革』に関連する制度」があるかどうか聞いてみたところ、上位の結果は下記のようになりました(複数選択可)。

■志望度が上がりそうと答えた制度上位3つ
副業・兼業の解禁=50.3%
テレワーク(在宅勤務含む)=49.5%
有給休暇取得の促進=46.6%

 この3つの制度が40%を超え、上位の4つ目に挙がった「定年延長」の31.7%を大きく上回ります。反対に、下位の結果は下記のようになりました。

■志望度が上がりそうと答えた制度下位3つ
勤務間インターバル制度=10.7%
脱時間給制度=13.2%
同一労働同一賃金=15.9%
※「特になし」を除く

 「副業・兼業」や「働く場所」に関連した制度のいち早い導入は、中途採用を実施する企業にとって応募を募る呼び水になりえるかもしれません。

 下位には給与に影響がありそうなものが揃いました。転職活動でも年収増を希望する方が多いだけに、年収減につながりかねない制度は志望の後押しにつながりにくいようです。

 「志望度が上がりそう」と答えた制度上位3つの割合を年代別でみてみると、「副業・兼業」で一番高かったのは30代で59%、20代が50%。「テレワーク」は20代が64%、30代が52%。「有給休暇取得」は30代が55%、20代が51%と過半数を超えました。

【志望度が上がりそうと答えた理由(※上位3つのうちどれか1つでも選択した人を対象)】
仕事の仕方が多様化しなければ過酷な労働を強いられている分野は一向に改善しない
いま勤めている企業にはないものばかり
様々な働き方を認めて個々の事情に沿う働き方を支援できる企業に魅力を感じる
自分自身が困っている事を改善したい
時代の流れを意識していて、それが経営にも反映されている判断できる
自身のキャリアの幅が広がるため
よい仕事よい成果はよい休暇や働きかたにより創出される
業務では得られない知見を習得するにも、副業はあったほうが会社の成長につながる
時間に制約されない働き方を望んでいる
一つの企業で限られた仕事を続けるより、仕事を掛け持ちすれば視野が広がる
自分の裁量で仕事ができるのは、プライベートの充実にもつながりそう
あまり自由度が高すぎると仕事のイメージがわかない
身の回りで介護をしながら働く人がとても多く、両立がとても大変そう
地方に在住しながら、選択することが出来る仕事の幅が広がる
パートも正職員と同じ給与をもらえる、格差がない社会であってほしい
早く帰りたいのは一緒で、保育園の迎えは許されて、合コンが許されないのはおかしい

2. 勤務先の働き方改革に点数をつけると……? 平均48.5点!

~点数が低いのは“昭和的”体質の企業、年代別では40代~

<得点別の割合>

 現職に就いている会員に勤務先の働き方改革に対して点数(100点満点)をつけてもらったところ、平均は48.5点でした。満点をつけた会員がいた一方、約1割は0点をつけており、また10点以下という会員が2割弱いました。

 得点が高い理由として挙げられたのは、働きやすい環境のための制度が整い、実行されていること。在宅勤務やフレックスタイムなどの制度が整っていることや有給休暇が取得しやすいこと、残業が少ないことなどです。また、外資系企業に勤めている人からは「自分で働き方に責任を持てること」「2週間連続休暇がある点」などの声がありました。

 「制度面は整えてはいるが、実行されていないためマイナス評価」といった意見もあり、制度は整備しているものの実際に使われていない企業は評価が低くなりました。

 得点が低い理由は「仕事の内容ではなく、“社内に長く残っているのが偉い”文化が根づいている」など労働時間が長いこと、働き方改革の制度導入が遅れていること、働き方が“昭和”的な昔と変わらない旧体質が依然として残っていることなどが挙がりました。「利益を最優先させ、社員の健康は全く考えていない」といった意見もありました。

 平均点を年代別で見ると、20代が50.9点、30代49.0点、40代44.8点、50代50.9点。中間管理職が多いと思われる40代が、他の世代に比べて低くなりました。

【点数の理由(一部)※×…平均点以下、○…平均点以上】
有給休暇も残業時間も改善姿勢が見られない。
利益を最優先させ、社員の健康は全く考えていない。
仕事を効率よく終わらせることが評価されず、だらだら付き合うことがチームワークになっている。
「働き方改革」という言葉すら社内で聞いたことがない。社内規則は古くから存在するものが現在でも使われており、改善される見込みもない。
昭和の古き良き時代の悪しき手法を、問題意識の改善を感じず、そのまま踏襲している。
ライフワークバランスやいろいろな制度を取り入れてはいるが、形だけで中身がついてきてない。
10日間は必ず有休休暇を消化しないといけないので必ず休みは取れるが、有休を取るにあたり引きつぐ人がいないので、結局作業を後回しにすることになる。
妊娠した女性が退社するのではなく、産休明けに復帰するケースが多い。
有給休暇の取得やテレワーク奨励、服装の自由化など、着々と働き方改革が実行されてきていると感じる。
一定時間以上の残業原則禁止、在宅勤務の推進が進んでおり、長時間労働タブーの雰囲気かある。
働き方改革に関する各種取組み(特に有給休暇取得推進、時間外労働の規制)を進めており、変わろうとする姿勢が感じられる。
外資系企業だから、各自が自分の働き方に責任を持っている点は良いと思う。

3. 働き方改革関連法案の理解度は?

~「残業規制」は約8割が理解、「中小企業の割増賃金率の猶予措置廃止」は7割以上が理解せず~

 働き方改革関連法案の8つの項目について、言葉と内容の理解度を聞きました。「言葉も内容も十分理解している」の割合が最も高かった項目は、「時間外労働(残業時間)の上限規制」(35.6%)。次いで「同一労働同一賃金」(29.8%)、「有給休暇の取得義務化」(29.6%)の順でした。

 残業時間の上限規制は、時間外労働の上限について月45時間、年360時間を原則とし、特別な事情がある場合でも年720時間、単月100時間未満(休日労働含む)、複数月平均80時間(同)を限度に設定するもの。多くの企業でノー残業デーを実施するなど長時間労働を減らそうという動きもあり、働く人にとって最も身近な項目だけに理解度が高い結果となりました。同項目は「言葉は知っているが、内容はなんとなく理解している」を含めて8項目中、最も高い割合でした。

 理解度が低い項目は中小企業を対象にした「割増賃金率の猶予措置廃止」。「言葉も内容もほとんど知らない」が45.5%、「言葉は聞いたことがあるが、内容はあまり理解していない」が29.1%となり、約75%の人がほとんど理解していないようです。

 これは月60時間を超える時間外労働に係る割増賃金率(50%以上)について、中小企業への猶予措置を廃止するという法案。施行予定が2023年度と5年も先ということもあり、働く人にとってまだ身近でないことが理解度の低さにつながったのかもしれません。

 同法案は中小企業を対象にしていることから、回答者が所属する企業規模(現職または前職)でみたところ、「言葉も内容もほとんど知らない」と「言葉は聞いたことがあるが、内容はあまり理解していない」の合計は、「大手企業」の回答者が72.9%、「中小企業」は76.8%と中小企業のほうが高くなりました。

4. 法案成立するも、自分の働き方には「変化なし」が多数

 働き方改革関連法案の成立によって、自分の働き方がどうなると思うかを聞いたところ、8つの項目いずれも「変わらない」が最多となりました。項目によって回答の割合に差はありますが、「変わらない」の回答は約55~78%を占めました。働き方改革関連法案は成立まで3年を要し、政府が2018年国会の重要法案の1つとして成立させたものの、働く人たちにとってはほとんど影響がないと考える人が多い結果となりました。

 項目別にみると、働く人たちが改善を最も期待している項目は「有給休暇の取得義務化」。「大変良くなる」が9.8%、「やや良くなる」が29.6%となり、約4割の人が今までより良くなりそうと思っています。

 同項目を年代別にみると、20代が48.6%(「大変良くなる」と「やや良くなる」の合計、以下同)、30代42.3%、40代36.2%、50代34.6%となり、年代が上がるにつれて、割合が下がっていました。

 「もっと悪くなる」「やや悪くなる」の回答が多かったのは「特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル制度)の創設」で、約2割(「もっと悪くなる」6.5%、「やや悪くなる」12.5%)の人が改悪になるのではと考えています。同法案は一定以上の年収の高度専門職を対象に、職務や成果を基に賃金を決める制度のため、残業代や休日手当の支給が適用されなくなることなどに、不安を感じるのではないでしょうか。

 同項目を年代別で見ると、「もっと悪くなる」と「やや悪くなる」の合計が20代23.4%、30代19.7%、40代21.3%、50代13.5%となり、若手層の不安がより大きい結果となりました。

5. 関心度の高い項目は「有休の取得義務」がトップ

 働き方改革関連法案の中で関心が高い項目を選んでもらったところ、「有給休暇の取得義務化」(33.7%)が最多となりました。年代別でみても20~50代いずれにおいて、最も高い割合でした。有給休暇を挙げた理由をみると、「なかなか取得できないから」といった意見が大半を占め、義務化されることで取りやすくなると期待しているようです。

 次いで関心度の高い項目は、「時間外労働(残業時間)の上限規制」(17.4%)、「同一労働同一賃金」(17.2%)でした。年代別で見ると、20、30代は全体と同じく「時間外労働」「同一労働同一賃金」の順でしたが、40代は「同一労働同一賃金」「特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル制度)の創設」の順、50代は「高度プロフェッショナル制度の創設」「同一労働同一賃金」の順になりました。

【関心がある理由(一部)】
■有給休暇の取得義務化
毎年、有給休暇の消化ができず、捨ててしまっているため
有給休暇を取得することに後ろめたい気持ちがあったが、2019年からは堂々と取得できそうな気がする
有給休暇はあるが、取りにくい雰囲気があるし、他の従業員もあまり進んで取っていない
■時間外労働(残業時間)の上限規制
現在の残業時間が非常に多いため
残業時間の多さは多くの日系企業で問題となっており、多くの人たちに共通する問題点でもあるから
子育てをしながら働きたいと思っているが両立を考えると残業は難しい
もともとの賃金が低く、残業代を稼ぐことでようやく生活が成り立っているのに、規制されたら手取りが減ると考えられ、より一層の格差が広がる
労働時間上限を設定して、仕事は終わるのか? サービス残業、持ち帰り業務が増えると考える
■同一労働同一賃金
パートも正職員同様に働いていたら、同一賃金をもらうのが当たり前だと思う
現在派遣社員だが、同一労働同一賃金は絵に描いた餅だと思う。実質同じような業務をしていても、社員にのみ様々な権限が与えられているため、責任の重さが違うという理由で同一労働とはみなされない
雇用形態に関わらず、平等に労働者としての扱いを受け、賃金を貰えるならば、結婚、出産を機に、働き方を見直す必要のある女性にとっては、選択の幅が広がると思う
実際に同一労働を定義することは難しいと感じている
人事を担当しており、同一労働同一賃金を厳密に実行するとなると業績への影響が大きいと考える。総合的な労働条件で契約すべきであり、賃金のみに焦点を当てるのは日本の雇用慣行に馴染まないものと懸念している。
<調査概要>
◎調査対象:「日経キャリアNET」登録会員(21~59歳)
◎調査期間:2018年7月26日~8月8日
◎調査方法:メールにて依頼し、Webサイトで回答
◎回答者数:849人