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『第6回 金融アンケート結果』からインタビュー集計結果

『第6回 金融アンケート結果』からインタビュー集計結果

「リーマン・ショックから2年後の金融業界の転職」についてアンケートをまとめた結果、今後転職したい金融機関ランキングで、2位にゴールドマン・サックス証券、4位にHSBCグループ、シティバンク銀行と上位に外資系金融が占め、人気が高いことが分かりました。そこで外資系金融に詳しい小溝勝信氏(エグゼク ティブ・サーチ・パートナーズ代表)に外資系金融業界の転職動向について、お聞きしました。

編集部 鈴木
小溝勝信氏(エグゼクティブ・サーチ・パートナーズ代表) 小溝 勝信 [こみぞ かつのぶ]

東京大学教養学部を卒業し、住友銀行(現三井住友銀行)に入行後、1984年ファーストシカゴ銀行東京支店の事業法人部長に就任。 人材コンサルティングに転ずるため1989年米国大手ファームのホイットニー・グループ日本支社に入社し、副支社長に就任。 1994年に株式会社ヘッズジャパンに転じ、金融部門担当のマネジング・ディレクターに就任。2004年、エグゼクティブ・サーチ・パートナーズ株式会社を設立。 同社代表。NPO法人「金融人材市場の改革を進める会」副理事長。

金融危機で約5000人が減った外資金融人材

金融危機前後の外資系金融機関の従業員数の比較

金融危機前後の外資系金融機関の従業員数の比較

減少数 ▲4,757人
減少率 ▲16.7%

地域別減少数

減少数 減少率 構成
北米の金融機関 ▲3,011人 ▲18.5% 63.30%
欧州の金融機関 ▲1,949人 ▲18.8% 41.00%
その他 203人 - -
合 計 ▲4,757人 - -

<資料:エグゼクティブ・サーチ・パートナーズ>

リーマン・ショック前後の金融ビジネパーソンの動向について教えてください。


国内には広い意味で金融業界に勤めている人は、約150万人います。人材の流動性がある外資系金融人材について、当社は、 リーマン・ショック前とその後の外資系金融の日本法人について調査しました。それによると、上記の通り、日本の外資系金融機関の従業員数は、金融危機後4757人、16.7%減少しました。

これは、リーマン・ショックで2割以上が解雇されたと報道された米国の金融界のリストラより小さいですが、転職のインフラやセーフティーネットが準備されている米国と、それらが未整備の日本とを単純に比較することはできません。しかも、ウォール街では既に採用が復活しており、高額な年収を保証した人材の争奪戦が復活しています。

ニューヨーク市労働局によると、2010年5月末での同市の金融業界の雇用者数は42万9000人で、ピークであった07年8月末の47万4000人の91%まで回復しています。一時7割台に落ち込んでいた状況から大きく改善しています。

調査結果によると、北米系と欧州系の比較では減少率はほぼ同じです。米系では、大手の投資銀行での大規模なリストラが主因であり、欧州系では、大手ユニバーサル・バンクでのリストラに加え、銀行の合併・売却の影響があったからです。

これに対してリーマン・ショック前後の日系金融の人材動向を見てみると、会社都合による退職は、外資に比べると、あまりありませんでした。リスクを取らない日系金融は、金融危機による業績の落ち込みは、欧米ほどなかったからという理由もあるでしょう。

米国の金融規制が業績に大きく影響する見込み

今後の金融業界の求人については、どのように考えていますか?


金融危機後の米政府は、金融規制改革法を2010年7月に設立させました。これは、金融危機の再発を未然に防ぐことが最大の目的ですが、今後、銀行の高リスク取引を制限する「ボルカー・ルール」等の具体化が進みます。

結論から申しますと、今回の法改正にはこれまで収益の柱だった投資銀行業務に大きな影響を与える規制が多く含まれており、米国の大手金融機関の収益を圧迫すると考えられます。従って、今後は、人材を減らす方向にあると考えられます。日本における大手の外資系金融機関でも、最後に生き残るのは数社といわれています。こうなると、2万3000人以上いる外資金融人材も将来、少し悲観的な観測になりますが、2万人を切るかもしれません。

外資金融への転職希望者は多いですが、アドバイスはありますか?


日系金融に勤めていた経験者の中には、安易に外資への転職希望を口にする人がいます。アドバイスする前にまず、日系と外資では、収益構造が大きく違うことは、ご存知のとおりです。伝統的な商業銀行業務を中心とする日系金融とM&Aなどのグローバルな投資銀行業務を中心として展開する外資金融では、業務内容が違います。社風や業務も天と地の差があるでしょう。「外資は高級待遇だから」などと安易な理由で転職を考えている人は、もう少し情報を集め、しっかりとした考えを持つようにしてほしいですね。

英語力、専門スキルを伸ばす

金融人材について今後、必要なスキルとは?


グローバル化が進んだ金融業界の中で、実践的に使える英語力は必要でしょう。英語力は個人差が大きいので何年やっても身に付かない人がいる反面、それほど苦にしない人もいらっしゃいます。ただし、座学や検定試験を受けるなどのレベルではなく仕事で使えなければ、意味がないでしょう。さらに金融プロとしての専門分野を磨くことだと思います。


――ありがとうございました。