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企業インタビュー

仕事も転職も成功に導く働き方とは? 女性転職者が語ります

仕事も転職も成功に導く働き方とは? 女性転職者が語ります

会社の制度を上手に活用しながら、仕事も子育ても全力投球――。そんな女性転職者たちに、今の会社を選んだ理由やどのような制度を使って仕事と家庭生活を両立しているかなどについて、率直にお話しいただく連載企画です。


今回は、東京急行電鉄で2人の子供を育てながら働く石川あゆみさん。東急電鉄は経済産業省と東京証券取引所が年に1回選定する「なでしこ銘柄」(※)で制度発足以来、7年連続で選定されている唯一の企業です。これからの転職先選びや子育てをしながらの働き方の参考にしてください。

※なでしこ銘柄…経産省と東証が女性活躍の推進に取り組む上場企業を選定し、発表・表彰。2018年度は42社が選定。

転職のきっかけは電車の中吊り広告

――今の会社に転職したのはいつですか?

約10年前です。当時は、結婚はしていましたが、子供はいませんでした。今は7歳と3歳の2児の母です。

――なぜ転職をしたのですか?

今の会社は3社目です。大学卒業後は新卒で通信キャリアに入社し、法人営業を担当しました。まだモバイルインターネットが先駆けの時代で、コンテンツ開拓や企業アライアンスの業務にも携わりました。その後、1度目の転職で出版社のデジタルコンテンツ部門に、2度目の転職で東急電鉄に移りました。

転職理由は1、2社目ともに仕事と家庭生活を両立しながら、長期にわたって働き続けるのが難しかったからです。通信キャリア在籍時は転勤することが決まって、受けるかどうかで迷い、結局転職を決意しました。2社目の出版社は働いてみたかった業界ではあったものの、時間に関係なく好きなことを追求する社風で、なかなかこの生活を続けることは厳しいなと。ただ直接的な理由は、東急電鉄という会社でやりたいことを見つけてしまったから、というのが正直なところです。

――やりたい仕事とは?

東急沿線は「上質」や「洗練された」といったイメージがあると思うのですが、当時は情報発信やIT面ではやや遅れていると1人の消費者として感じていました。通信キャリア時代に磨いたスキルや出版のデジタルコンテンツを扱った経験を生かせば、街のイメージをもっと高められるような発信ができ、より良い街づくりに貢献できると考えました。

今もそうですが、当時も東急沿線に住んでいて、沿線の街がとても気に入っていたんです。電車の中吊りで中途採用広告を見た時に、「こういう素敵な街をつくっている会社で自分も働き、一緒に街づくりができたら本当に面白いだろうな」と思いました。

――会社を選ぶとき、女性の働きやすい制度などにも注目されたのですか?

10年前の東急電鉄は、そこまで制度は充実していませんでした。ただ、知り合いの社員の方や採用面接で話を聞くと、「やりたい仕事と家庭をバランス良く充実できる、こんなにいい会社はない!」と皆さんが口を揃えて強調していました。仕事も家庭も大事にしたいと思ったことが転職のきっかけでもあったので、私には一番合った会社なのではないかと思い入社を決めました。

手がけた業務が業界内の話題に

――今はどのような仕事をされているのですか?

東急グループには、東急百貨店や東急ストアなど一般消費者を対象にした事業(リテール)会社がいくつもあります。私は実際の運営から一歩引いた視点で見て、グループのリテール事業全体の戦略推進を考える業務に携わっています。

百貨店やスーパーなど各社が独立して事業を行うことはもちろん、これからの時代は東急グループとしてリソースを連携し、強みを発揮していかなければ、他社との差別化や競合に勝っていけません。有効的に事業を融合して展開していくことが、重要になってきています。

――最近手がけられたプロジェクトはありますか?

2018年11月に東急百貨店と東急ストアは商品販売戦略で連携し、グロッサリー(食料品雑貨)売場の新業態の展開を始めました。 百貨店ならではの専門性や希少性の高いこだわり商品と、スーパーマーケットの幅広い品揃えと値ごろ感のある商品を組み合わせることで、より一層買いやすく、幅広い品揃えの売り場を作っていこうという初の試みです。その連携業務を担当しました。

実は同じグループであっても事業会社が違えば価値観や文化が異なり、一緒に業務展開することは簡単ではないです。1つのホールディングスの傘下に百貨店とスーパーを持っているところはいくつもありますが、今回のように完全に連携して商品販売戦略を立てるような協業をしている会社はほとんどなく、今回の提携は業界内では結構話題になったんですよ!

週に1回はサテライトオフィスを利用

――ご多忙なお仕事と思いますが、どのような制度を使って家庭生活と両立していますか?

様々な制度を活用していますが、1つは「サテライトオフィスNewWork」の利用です。「NewWork」は東急電鉄が一般法人向けに展開している事業で、直営店・提携店を合わせると全国100カ所以上のオフィスがあります。これを従業員も利用できる制度です。

自分が住んでいる街にもNewWorkがあり、打ち合わせのない日や子供の学校行事があるときなどに活用しています。例えば、授業参観がある日は朝から参観の開始時間までNewWorkで仕事をし、「2時間休暇」を取得して学校に行った後、またNewWorkに戻って働くといった活用です。制度は柔軟に使えますし、通勤時間がかからないので、時期や業務内容にもよりますが1週間に1回は利用しています。

勤務時間を定時から前後にずらせる「スライド勤務制度」も活用しています。始業時刻を基準に7時30分から10時30分の間を30分単位で繰り上げ、繰り下げできる制度です。子供の保育園の迎えのために1時間繰り上げて出勤し、1時間早く退社しています。子育て中の社員のみならず全社員が使える制度なので、平日に大学院に通っている社員や趣味の習い事のために早く会社を出る社員なども使っています。2018年8月の社内調査では、社員の68%が利用した実績があったそうです。

病児保育の支援制度も本当に助けられています。NPO法人「フローレンス」と法人契約しており、従業員は格安で利用できるんです。子供は急に発熱することがよくありますが、どうしても休めないときにはフローレンスにお願いしています。

――他にも様々な支援制度がありますね。

私は利用したことはないのですが、ママさん社員に評判がいい支援の1つとして、都内に2カ所ある事業所内保育所があります。当社は鉄道会社であるため、早朝から深夜、泊まり込みの業務の社員もいます。そういった方は非常に助かっているようです。育児・介護・看護といった制約を持つ社員に対して、1週間の勤務を4日間にする「短日数勤務制度」などもあり、従業員の働き方のバリエーションが広がっています。

――制度利用に対する社内の雰囲気はどうですか?

管理職も使っていますし、男女問わず育児中の社員などいろいろな属性の社員が増えているので、会社全体として使いにくい風潮はありません。 自分自身を振り返ってみると、制度があることで圧倒的に気持ちと体力に余裕を持てていると思います。制度がない場合、結局しわ寄せが来るのは家庭で、家でイライラしたり、疲れ切って子供と遊べなかったりということになってしまいます。

仕事はいくら楽しくても、体力的にキツイと長期間続けることはできないし、長い人生で見たときに一番いいのは、仕事も家庭も最適なバランスで働けることです。心に余裕が出てくると仕事にも好影響を与えますし、家庭は家庭で大切にしたいので、とてもありがたい制度だと思っています。

長く働き続けられることが最重要

――これから転職を考える方に、ご自身の経験からアドバイスをお願いします。

アドバイスというほどではありませんが、私は2回の転職でようやく自分にとっての仕事の価値観、人生における仕事の位置づけが明確になりました。転職に対してためらう方もいると思いますが、チャレンジしたい気持ちがあればどんどんチャレンジすることをお勧めます。

私は1度目の転職の際は明確な軸がなく、企業名やイメージ、前職からのつながりで自分にできそうなことで、会社選びをしていました。ただ会社を変え、社会人経験が長くなるにつれて、自分の働き方の絶対的な条件に気づきました。仕事のやりがいはとても大切ですが、やりがいや環境も含め長く続けられることのほうがもっと大切で、家庭と仕事のバランスが取れる働き方ができる会社であることが最重要ということです。

さらにもう1つ、「やりたいこと」と「できること」の両方あることがとても大切だと思っています。転職者はどうしても即戦力として見られます。転職先に知り合いがいない場合は、完全な「アウェー状態」です。少なくともやりたいことがないと心が折れてしまい、仕事を続けられないことにもなりかねません。自分が活躍できるイメージを持っておくことで、認めてもらえるきっかけになりますし、仕事を続ける自信にもなります。

転職したことで見えてくることがありますし、もしそこでうまくいかなくても、その経験を持って次にできることがあると考えています。これまで大変なこともありましたが、どんな経験も、どんな人脈も無駄になったことは1つもありません。転職したいと思ったら、じっくりと自分と向き合い、積極的に行動に移してみてはいかがでしょうか。

東京急行電鉄株式会社
リテール事業部リテール戦略グループ/
沿線生活創造事業部 ウェルネス事業推進グループ
課長代理
石川 あゆみさん