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AIとの勝負で身に付く「先読み脳」

将棋・囲碁で鍛える常識にとらわれない先読みのスキル<前編>

将棋・囲碁で鍛える常識にとらわれない先読みのスキル<前編>

空前のブームが巻き起こっている将棋。一昔前の将棋ゲームと言えば不思議な手を指すなど、あっさり勝ててしまうイメージを持つ方も少なくないと思います。ただ、コンピューターソフトの進化は目覚ましく、そこに人工知能(AI)独自の分析力が加わり、これまでプロ棋士が膨大な手を研究しているにも関わらず、驚くような新しい手を見つけるほどになっています。
AIの進化もさることながら、プロ棋士の様々な展開をシミュレーションして状況に応じて最良の選択を導き出す先を読む力は、身に付けられるのであれば、ぜひ習得したいスキルでもあります。
この企画では、将棋や囲碁に不可欠な先読みのスキルをヒントに、ビジネスパーソンとして鍛え上げたい「先読み脳」について、前後編の2回にわたって解説します。初心者でも学びやすい将棋や囲碁のスマホアプリも併せて紹介します。将棋や囲碁は頭脳を鍛えるだけでなく、きっと役立つ要素がいろいろとあると思いますので、これを機会に始めてみてはいかがでしょうか。

常識にとらわれない展開に持ち込む

わずか14歳で将棋界最多の29連勝を成し遂げた最年少プロ棋士、藤井聡太四段。藤井四段に破られるまでの最年少記録を持ち、元名人で現役最年長棋士として活躍し、惜しまれながら引退したのち、タレントとしてブレークした加藤一二三さん。年の差60以上となる2人の活躍もあって、将棋は非常に高い注目を集めています。

将棋は、先の先までお互いの駒の動きを予想したうえで一手一手を指していく頭脳ゲームで、それだけに素早い頭の回転と深い思考力が要求されます。そのため、14歳で異例ともいえる連勝を続けた天才プロ棋士の出現に子どもの教育面からも注目が集まり、将棋教室は軒並み満員。対局日に食べる「勝負めし」まで話題になり、扇子などのグッズも飛ぶように売れるという現象につながったのです。

ここでビジネスパーソンが参考にしたいのが、藤井四段のセオリーを踏襲しつつも、状況に応じて常識にとらわれない将棋の指し方。先を読み、駆け引きしながら自分の展開にもっていく思考、つまり「先読み脳」です。藤井四段は前半から激しく攻めたり、後半で予想外の手を打ったりして対局者を翻弄。これまでの常識にとらわれない展開に持ち込んで相手の思考を乱し、冷静に先を読めなくしてしまいます。そうして見事に、対戦者は藤井四段の術中にはまっていくわけです。

こうした将棋の指し方は、コンピューターソフトに採用されているAIの特徴でもあります。藤井四段も普段、コンピューターソフトを相手に対戦を重ね、人間とは異なるAIの将棋を学び、実践でも駆使しているといいます。

最強?の存在になりつつあるAI棋士

では、コンピューターソフトが実際に、プロ棋士相手にどこまで勝負ができるのか。そんな興味に応えてくれるのが「電王戦」です。2012年に動画配信のドワンゴ主催の一番勝負で対決する非公式戦として行われ、16年から二番勝負の「第1期電王戦」となり、この勝負でなんと2勝したのが、コンピューターソフト「Ponanza(ポナンザ)」です。
ポナンザは17年、データベースのライブラリーを取り込んだディープラーニングで、コンピューターならではの先の手を読む素早さとともに、新たな勝利への知識を膨大に実装しました。

ディープラーニングとは、人間の脳の構造をモデルに膨大なビッグデータを学習し、解析するアルゴリズムです。AIはコンピューターで動作する計算力を生かして一見、無関係に見えるデータも吟味して、将棋や囲碁の場合では勝利する確率が最も高い手を決定しています。

このポナンザに追いついたAIがコンピューターソフト「elmo(エルモ)」で、17年の第27回世界コンピューター将棋選手権で優勝しました。ベースは電王戦でも善戦したAIで、より勝率の高い指し手を選び、その手を選べるように関数を調整してあるといいます。プロ棋士たちは勝負の前にサンプルソフトを受け取り、さらに普段もコンピューターソフトと対戦するなどして研究をしていますが、実戦ではなかなかエルモに勝つことができません。

想定内と予想外でより良き答えを導く

AIは過去の棋譜なども膨大に記録し、さらにAI同士で対戦したり、人間と対戦したりすることで、より確実な勝利のセオリーを学びます。データ分析はAIが自動的に行っているため、人間には理解不能の部分も出てくるのです。

コンピューターソフトはこれまで、先の展開を瞬間的に数多く計算するため、高速CPU(中央演算処理装置)をいくつも使うことにも力を入れてきました。今は様々なデータを学ぶディープラーニングを導入することで、これまでより人間が考えつかなかったような将棋を指すようになり、藤井四段に限らず、プロ棋士たちを大いに刺激しているようです。

より進化したAIの出現で、将棋の指し方そのものが変わりつつあるともいいます。AIはなぜ、その駒をそのタイミングでそこに指したのか、思考を説明することはできません。それでも様々な要因をかけ合わせて計算し、評価することで最良の手を指しているのです。

次々と起こる予想外の出来事や交渉での思わぬ出方、そして様々なトラブルをどう収めていくか。もしくはトラブルが起こらないようにする方法はないのか。AIと同じく人間も、より多くの知識をインプットしておくことで出す答えが異なってきます。
先を予想して多くのことを想定内にしておき、ときには予想外の発想で周りを自分のペースに引き込み、より良き答えを導いていくことこそ、将棋を学んで身に付けたい「先読み脳」なのです。

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