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腕利きのトップエージェントに聞く

転職市場の展望と上手なエージェント活用のコツ

転職市場の展望と上手なエージェント活用のコツ

日ごろエージェントを利用している人であっても、エージェントが日々、どのようなスタンスで業務に臨んでいるのかを聞く機会はなかなかないと思います。これからエージェントを利用しようとしている人やエージェントの利用を躊躇している人にも参考にしてもらえるよう、腕利きのトップエージェント6人(企業を1社含む)にエージェントの上手な活用法、印象的な転職事例、今後の転職市場の見通しや展望などについて伺いました。

※トップエージェント=日経キャリアNETエージェントサーチ参画のエージェントのなかで2016年に最も活躍したエージェントに贈られる最優秀賞、ならびに転職支援決定数および転職者満足度が特に高かったエージェント・企業に贈られる優秀賞・企業特別賞の授賞者。

株式会社クロスインフィニティ・マネジメント 吉松 毅様(2016優秀賞)

 前職で会社の経営やマネジメントを経験していたこともあって、管理部門のマネジャー職の転職サポートをメインに行っています。
 最近気になるのは、多くのエージェントに登録してしてしまい、キャリアコンサルタントとの面談を電話で済ませている求職者の方が増えていることです。忙しいなか、少しでも沢山の情報を取りたいという気持ちは分かりますが、フェイストゥーフェイスでなければ伝わらない内容がどうしてもあります。できれば、直接会って必要な情報を引き出してほしいですね。
 先日も女性の税理士の方が、「子供を豊かな自然環境のなかで育てたい」との理由でIターンのご相談に来られました。タイミング良く金融機関から紹介を受けたコンフィデンシャルな案件があり、山梨県の会社で上場を目指すにあたり経理部門の責任者として働くことが決まったのですが、仕事内容や生活環境など様々な情報をすり合わせました。
 管理部門の求人は相変わらず活況です。ベンチャー企業であればIPO絡みが多いですし、上場企業もコンプライアンスやガバナンス強化が課題であるだけに専門性を持った人材が注目されています。一時は管理部門のアウトソーシングがもてはやされましたが、内製化に戻りつつあるようです。

株式会社リーベル 高田 祥氏(2016優秀賞)

 通信会社やIT企業での経験を生かし、セキュリティ業界やコンサルティング業界への転職支援を得意分野としています。
 日頃から感じているのは、エージェントをもっと信頼してほしいということです。利用するだけでなく、転職を成功するためのパートナーという位置付けで付き合っていただきたいと思います。もちろん、しっかりと見極める必要があるのは言うまでもありません。やはり、企業ありき、転職ありきではないキャリアコンサルタントと組むことをお勧めしたいと思います。
 別に一人に絞りこまなければいけないというつもりはありません。先日も他のエージェントと並行して転職活動を行っている方がいたのですが、私がご紹介した企業の最終面接で先方の評価が分かれ保留になっていました。私は「ここが勝負どころ」と思い、候補者とすぐにお会いして、入社後の活躍をイメージできる志望動機書を書いてもらい、先方に提出し、内定を得ることができました。
 私が担当するセキュリティ分野は、引き続き求人ニーズはかなり高いものがあります。特に技術だけでなく、ビジネスの動向も語れる人材は強いですね。常日頃からアンテナを広く張っておくことがポイントです。

ディスタコンサルティング株式会社 松岡 久美子様(2016優秀賞)

 管理部門の事務職の方々、それも40代・50代をメインに活動しています。固定概念は一切持たず、毎回真っ白な状態で臨むよう心がけています。
 数あるエージェントの中から、それぞれの特徴を把握することが大切であることを強調したいですね。その上で、自分にとってプラスになるようなエージェントを、異なる視点から複数登録されることをお勧めします。信頼して何でも本音で話せるかどうかが見極めのポイントとなってきます。転職理由、今後の方向性などを共有することが大切だからです。私自身も選んでいただけたという意識が持てると取り組み方が変わってきます。昨年10月も、関西にお住いの方からご相談をいただきました。かなりニッチなポジションでしたが、運よく当社のクライアントで空きが出てトントン拍子で内定まで進みました。自分でもワクワクしてしまうほどでした。
 近年一般事務、営業事務の位置づけが大きく変わってきています。専門化、業務の細分化が進んでいるのが大きな要因です。今後ポジションは少なくなっていくのではないでしょうか。ただ、HTMLやCSSなどの知識がある方は依然として重宝されています。経理や労務、人事も、何らかの強みをお持ちの方が求められています。

株式会社Apex 石川 行洋様(2016最優秀賞)

 前職で培ってきた経験や知識を生かして、現在は不動産金融、不動産ファンドなどに特化した転職を支援させていただいています。
 求職者の皆様にぜひお伝えしたいのは、履歴書や職務経歴書をできる限り詳細に書くとともに、それを常にアップデートしてほしいということです。お互いに無駄な面談やロスがなくなりますから、マッチングの精度がグーンと高まります。また、面談の場では仕事だけでなく、プライベートも含めて今考えていることを本音ベースでお話しいただきたいですね。
 実際にお会いしてお話することでご本人の良さに気付けますし、是非とも応援したいという気持ちが高まってきます。50代の不動産ファンドの投資家向け営業の経験者をサポートさせていただいた時もそうでした。事前の段階では、転職回数の多さが気になっていたのですが、ご本人の人柄に惹かれ、前職・前々職に在籍された会社の社長に書いてもらった推薦状を添えて企業にご推挙したところ、あるファンドからオファーをいただけました。
 日系大手のリートや私募ファンドは今後も求人ニーズは多いはずです。一方、外資は物流案件は活発ですが、一部には淘汰が始まってきています。

株式会社人材情報センター 佐々木 稔受様(2016優秀賞)

 私自身が、Iターン経験者ということもあって、首都圏を離れ北陸で働きたいという方の転職を支援しています。大手企業を早期退職されたり、役職定年された中高年層からのご相談も少なくありません。
 東京・金沢で延べ12年もの長きにわたりキャリアコンサルタントを務めてきましたが、転職が失敗した原因の多くは入社前に雇用条件を明確にしておかなかったからだといえます。私どもは、書面で事前に提示してもらいますし、条件交渉も行います。さらには、必ず最初の面談に同行するようにしています。そうしたきめ細かいフォローをしてくれるエージェントを選ぶべきだと思います。どうしても、大手は求人案件ありきになりがちです。案件がなければ、クライアントに売り込みを掛けてポジションを作り出す。そんなエージェントとお付き合いされることをお勧めします。
 北陸三県は依然として求人倍率がかなり高いといえます。医療機器、飲食、サービス、介護いずれの業界も積極的に人材を募集しています。もともと優良企業が多いエリアですし、住みやすさも全国トップクラスであるだけに、I/Uターンを希望される方はぜひ注目していただきたいと思います。

株式会社コトラ様(2016企業特別賞)

 当社は金融やコンサルティング、ITなどの企業の経営人材を中心としたプロフェッショナル、スペシャリストの転職サポートをメインにしています。キャリアコンサルタントも業界や仕事を熟知したメンバーが揃っています。
 登録者の皆様は今や複数のエージェントを併用されていることでしょうが、信頼のできる方を見つけてほしいものです。コンサルタントのプロフィールをチェックするのはもちろんのこと、本人が執筆した記事の内容や用語遣いにも注意してみてください。現場のキーマンとも対等に話ができるくらいのコンサルタントは、当然ながら深みが違うはずです。
 当社がカバーしている業界は、引き続き採用意欲が高く活況が続いています。ここ最近の特徴としては、従来以上にスペシャリスト志向が強くなっていることと、企業によって採用意欲に濃淡が出始めていることが挙げられます。その傾向は、今後さらに顕著になっていく気がしています。そして、もう一点は外注できるものは外注したいということもあって、専門的なスキルを持った人材を正社員として迎えるのではなく、業務委託契約を結ぶという企業が増えてきています。当社でも専門チームを立ち上げたところです。