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40overからのキャリア道

第4回 40overでも転職できる人になるための心得

第4回 40overでも転職できる人になるための心得

 かつて日本の転職市場では「35歳転職限界説」がささやかれていましたが、30代後半、40代の経験豊富なミドル層への期待は中小企業やベンチャー企業を中心に近年高まっています。可能性が広がってきたミドル層のキャリア形成について持つべき心得とは。
 第四回は「40overでも転職できる人になるための心得」について、佐藤人材・サーチ株式会社 代表取締役社長 佐藤文男氏に聞きました。

第四回  佐藤文男 氏

佐藤人材・サーチ株式会社
代表取締役社長

profile

1984年一橋大学法学部卒業後、日商岩井、ソロモン・ブラザーズ・アジア証券、ブリヂストンなど異業種を経て、97年より人材サーチビジネスへ。2003年10月に佐藤人材・サーチ株式会社を設立。13年から約1年間シンガポールにて人材紹介ビジネスに携わる。キャリアや転職に関するセミナーや講演実績も数多い。著書は共著も含めて16冊。近著に「3年後、転職する人、起業する人、会社に残る人」(クロスメディア・パブリッシング刊)。


専門性プラス英語力が40代転職の必須スキル

 かつては「35歳転職限界説」がささやかれていましたが、昨今はあらゆる企業から40代の人材が求められています。私が担当する候補者も35~45歳の層が多く、マネジメント経験の豊富な45歳以上のエグゼクティブの人材ニーズも高まっています。

 40代の転職で求められているのは、営業なら営業、人事なら人事といった高度な専門性です。それに加えて、英語力も必須と言えます。反対に言えば、英語ができないというだけで、可能性の間口を狭めてしまうことにもなりかねません。

 TOEICは700点以上が理想ですが、それ以前に、みなさんには英語アレルギーを持ってほしくはないと思います。私がシンガポールにいたときに出会った現地の人たちは、最低3ヵ国語を話せることは一般的でした。日本のみなさんも、まずは好きな映画でヒアリング力を高めるとか、空き時間にeラーニングをしてみるなど、隙間時間でできそうなことからチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

マネジメントの実績は、2:6:2の法則に当てはめてアピール

 40代も後半になると、マネジメントのスキルが求められます。面接時には必ず問われることですので、事前にご自身の実績をまとめておくと良いでしょう。

 その際に有効なのは、2:6:2の法則に従って部下をどうマネジメントしていったかをアピールする方法。2:6:2というのは、組織は必ず、優秀な人が2割、普通のレベルの人6割、できない人2割に分かれるというもの。ご自身のチームをこの3つのタイプに分けて、それぞれの部下に対してどうアプローチし、どのように関わって、チーム全体の底上げにつなげたかをアピールすると、面接官に実績が伝わりやすくなります。

 マネージャーとして最も評価されるのは、3つのタイプの人たちすべてに、前年比120%とか130%の力を出させたという結果です。出来る人には200%の結果を出させたけれど他はダメだったというのでは、マネジメント力が高いという評価にはなりません。

 上位の2割にはどんな施策を与えたか、普通の6割の人にはどんなアプローチをしたか、下位の2割にはどのようなサポートをしたのか。それぞれの要素をまとめておき、面接時に話せるようにしておきましょう。

40代だからこそ、慎重な会社選びを

 40overの転職の際に、気をつけてほしいことが3つあります。

 まずは、一度も転職経験のない人の場合。40代までひとつの会社でがんばってきたというのは、大きなアピールポイントになりますし、企業側の受けも良いことでしょう。しかしそれだけに、最初にいただいた内定をご縁と思い、よく考えずに決めてしまうという失敗をする人もいらっしゃいます。特に、オーナー系企業やベンチャー企業は個性が強く、それまで在籍していた会社とは文化や制度の充実ぶりが180度違うということもあり得ます。自分はどういう会社でどういう仕事をしたいのか、よく考えてから活動をしてください。

 また、異業種同職種への転職は大いに結構ですが、残念ながら、職種を変えるには40代は遅すぎます。営業なら営業、マーケティングならマーケティング。ご自身が積み重ねてきた経験をプラスに生かした転職を心がけてください。

 もうひとつ、数度の転職を経験している人は、できるだけ1社に3年以上はいるようにしましょう。実際のところはどうであれ、認められやすいのは3年以上の業務経験です。とはいえ、私も2社目は1年半しか在籍していません。それを踏まえて、次の転職先は慎重に選び約6年間在籍しました。40代は社会人としても成熟しているのですから、ここにきて辞めグセを付けてしまわぬよう、慎重に行動しましょう。短期間での転職、いわゆる”細切れ転職”を繰り返して、”ジョブホッパー”の仲間入りをしてしまう方が残念ながら現実には少なくないのです。

将来の自分のためになるかどうかで転職を判断

 私の経験上、面談する候補者のなかで、ひと月に数人は、転職をおススメしないことがあります。転職をしたいという方は、それはどうしてなのか、よく考えてみてください。今の職場から逃避したいという理由での転職活動ではうまくいきません。反対に、どうしてもという思いがあり、この時点での転職が将来の自分のためになるはずという自信があるのなら、あなたが何歳であったとしても、転職活動をするだけの価値はあるはずです。

 私が日本での活動実績をいったん止めてシンガポールに人材紹介の修行に行ったのは、50代前半のときでした。でも、海外を経験することが将来のためになるはずだと信じることができたから、あえてチャレンジしたわけです。転職もそれと同じです。

 転職を考え始めたら、ネットの情報だけに頼らず、行きたい業種、行きたい会社で働く人の生の声を聞いてみることです。40代でしたら、それなりのネットワークもあることでしょう。ぜひ現場の生きた声を集めて、それでも転職をしたいのか、するべきなのかと自分に質問してみてください。